相続税の基礎控除額
⑴基礎控除とは
相続税の基礎控除とは、どのような相続においても利用できる控除のことです。
相続税の原則は、
①課税価格が基礎控除額よりも少ない場合は、相続税の納税義務も、申告義務もない。
②課税価格が基礎控除額を上回った場合は、相続税の納税義務と、申告義務がある。
ですので、相続税について考えるならまずは基礎控除について考えなくてはなりません。
⑵基礎控除額の算出方法
基礎控除額は、「3000万円+法定相続人の数×600万円」になります。
なお、基礎控除額の計算において、養子は被相続人に実子がいなかった場合は2人、実子がいた場合には1人までしか人数に組み入れることはできません。
この基礎控除額、平成27年より前は「5000万円+法定相続人の数×1000万円」でした。
これに限った話ではないですが、税制は比較的法改正や、制度の利用条件の改定が多いため、古い書籍などを参考にしている場合などは注意が必要です。
⑶法定相続人とは
ここで、民法の定める「法定相続人」という言葉について確認します。
基礎控除の計算に必要な知識ですが、そもそも「遺産を相続できるのは誰か」に関する規定ですので、しっかりと確認が必要です。
常に法定相続人となる配偶者を除けば、法定相続人は以下の親族になります。
第一順位:被相続人の子供
被相続人の子供が、死亡などを原因に相続権を失っている場合は、その子供(被相続人の孫)が代わりに法定相続人になります。このように相続人の代わりに相続をすることを代襲相続と呼びます。
第二順位:被相続人の親
被相続人の親が死亡などを原因に相続権を失っている場合は、その親(被相続人の祖父母)が代襲相続をします。
第三順位:兄弟姉妹
・第一順位の該当者が一人もいないならば、第二順位の該当者全員が法定相続人となる。
・第二順位の該当者も一人もいないならば、第三順位の該当者全員が法定相続人となる。
つまり、被相続人に一人でも子供がいた場合、第二順位、第三順位の人が法定相続人となることはありません。
⑷基礎控除額の具体的な計算例
ここまでの説明を踏まえて、具体的な事例を考えてみましょう。
被相続人が亡くなった時点での親族が、被相続人の妻、兄、実子2人、養子2人の場合はどうなるでしょうか。
法定相続人は常に相続人となる妻、第一順位の実子2人、養子2人です。
ただし、基礎控除額の計算においては、実子がいるため、法定相続人の数に養子は一人までしか入れることはできません。
そのため、基礎控除額は3000万円+4人×600万円=5400万円となります。
課税価格が5400万円以下であれば、相続税は納税も申告も必要ないということになります。
このように、基礎控除額は「何人が遺産を相続するのか。」ではなく、「法定相続人が何人いるのか。」で定められます。
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