相続税の配偶者控除とは?注意点も併せて解説
相続が発生した際、配偶者が相続税を軽減する手段として、配偶者控除と呼ばれる制度があります。
今回は、配偶者控除を受けるための条件や、手続きの方法、および注意点について解説します。
相続税の配偶者控除とは?
相続税における配偶者控除とは、被相続人の配偶者が取得した遺産額が以下の2つの金額のうちいずれか多い金額までは、配偶者に相続税がかからないという制度です。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
この制度が設けられている背景には、夫婦が共同で財産を形成してきた事実を尊重することや、同一世代間での財産移転に過度な課税を避けるといった公益的な目的が含まれています。
相続税の配偶者控除適用のための条件
配偶者控除は減税効果の高い制度であるため、その適用を受けるためには法律で定められた下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。
被相続人の戸籍上の配偶者であること
配偶者控除を受けるための条件のひとつは、民法の規定による正式な配偶者であることです。
そのため、事実婚のパートナーは配偶者控除の対象外となります。
なお、婚姻期間の長短は問われません。
相続税申告期限内に遺産分割が完了していること
相続税の申告には、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。
配偶者控除を適用するためには、原則としてこの申告期限までに、配偶者が取得する財産が確定していなければなりません。
ただし、申告期限内に分割がまとまらない特別な事情がある場合には、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておくことで救済措置を受けられます。
さらに、3年を経過しても裁判が継続しているなどのやむを得ない事情がある場合は、承認を受けることでさらに期限を延長する選択肢もあります。
相続税申告書を提出していること
配偶者控除は、相続税の申告書を期限内に税務署へ提出し、特例の適用を受ける旨を明記することによって有効となる制度です。
相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超えている場合には、たとえ配偶者控除で納税額がゼロになるとしても、税務署への報告が必要です。
この申告を怠ると、控除が認められない恐れがあります。
配偶者控除は自動的に適用される制度ではなく、自ら選択して申請するものであるという認識を持つことが重要です。
配偶者控除の手続き
配偶者控除の適用を受けるために最初に行うべきことは、相続財産の全容を把握することです。
次に、相続人全員による遺産分割協議で配偶者が相続する財産を確定し、遺産分割協議書を作成します。
遺産総額や配偶者の取得額が決定したら、それを踏まえて相続税の申告書を作成します。
最後に、申告書に以下の証明書類を添付し、税務署に提出します。
- 被相続人のすべての戸籍謄本
- 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
- 配偶者が取得した財産が確認できる書類
配偶者控除の注意点
配偶者控除には、将来的に家族全体の税負担を増やしてしまうリスクがあります。
具体的には、以下の点に注意してください。
配偶者の相続額によって相続税の合計が変わる
配偶者の相続額によって、相続税の総額は変化します。
たとえば、子供がいる家庭で配偶者がすべての遺産を相続すれば、1億6,000万円の範囲内であればその相続の税金はゼロになります。
このように、全体の税額は相続人全員がどのような割合で遺産を分けるかによって変動することに注意が必要です。
目先の納税額だけでなく、遺産分割の割合が全体の税率にどう影響するのかも考慮しましょう。
二次相続で税負担が増えるリスクがある
配偶者が亡くなって生じる次の相続のことを、二次相続といいます。
二次相続では、一次相続のときよりも税負担が重くなる傾向があることに注意してください。
二次相続で税負担が増える理由は主に2つあります。
1つめは、相続人が1人減ることです。
配偶者がいなくなるため、相続税の基礎控除額が減り、非課税の枠が狭まります。
2つめは、配偶者自身の固有の財産に、一次相続で継承した財産が上乗せされることです。
合算された遺産が多いほど、次の相続人は高い税金を負うことになります。
まとめ
今回は、相続税の配偶者控除適用の条件、手続き、および注意点について解説しました。
配偶者控除は、配偶者の生活を守り、資産を次世代へ繋ぐために有効な制度です。
しかし、その適用には申告期限の遵守や二次相続までを見据えた計算が求められます。
相続税の算出に負担を感じた際には、早めに税理士に相談することを検討してください。










