事業譲渡
事業譲渡とは、会社分割や株式譲渡などと共に代表的なM&Aの手法の一つです。
事業譲渡は、会社の一部または全部の事業を第三者に譲渡することをいいます。
「事業」とは、対象となる事業を行うために企業が組織化し、機能している財産全てを指します。
企業を丸ごと売買するわけではないため、経営権は保有したままになります。
事業を誰かに受け継ぎたい場合、考えられる方法としては、主に3つあります。
■事業譲渡
会社の事業の全て、または一部を譲渡すること
■株式譲渡
大株主が持つ株を譲渡すること
■会社分割
会社の事業の一部だけを包括的に譲渡すること
・事業譲渡の、株式譲渡との違い
株式譲渡は、金銭と引き換えに、売り手の株式を買い手が譲り受けて、経営権を交代する手法のことをいいます。
事業譲渡では、契約関係を包括的に引き継ぐことができず、新たに買い手が契約し直さなければなりません。また、光熱費や通信費等の契約の名義は全て変更しなければならず、資産や債権の所有者から個別に同意を得る必要があります。
従業員が買い手との雇用契約を拒否した場合、人材を承継できず、期待していたM&Aの効果が得られなくなる可能性があります。
それでもあえて事業譲渡を選択するのには、不採算事業を切り離して、主要な事業に経営資源を集中的に投入するという目的があります。
・事業譲渡の、会社分割との違い
会社分割は、一つの手続きで資産や権利義務を包括的に譲渡できる株式譲渡のメリットと、譲渡したい事業の範囲を限定できる事業譲渡のメリットを兼ね備えたM&A手法だといえます。
事業譲渡も株式分割も、事業の一部を譲渡するという点は同じです。しかし、事業譲渡は譲渡する事業に関わる資産をひとつひとつ譲渡するのに対し、会社分割では譲渡する事業を包括的に譲渡する点が異なります。
会社分割では、包括的に権利義務を引き継ぐことによって、簿外債務や偶発債務を引き継いでしまうというリスクがあります。
しかし、事業譲渡では、事業をどの範囲で承継するかを契約で定めることができ、買い手が不要としている資産や承継したくない負債を契約の段階で除外することができます。
事業譲渡は、買い手が把握していない負債を承継するリスクを避けることができることに、大きなメリットがあります。
CIMA税理士事務所では、東京都豊島区・練馬区・杉並区・板橋区を中心に、神奈川県・千葉県・埼玉県・福島県において、皆さまからの様々なご相談を承っております。
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